トランス脂肪酸とは?健康への被害は?

最近、健康リスクとして摂取が問題視されているものにトランス脂肪酸があります。ニュースなどでもたびたび取り上げられているため、名前だけ聞いたことがあるという人も少なくないでしょう。トランス脂肪酸は普段の食事で様々なところに潜んでいるもので、知らずに大量摂取している人もきっといることと思います。ではこのトランス脂肪酸、実際にどのような健康への被害があるのでしょうか。

 

トランス脂肪酸とは、脂肪酸の中でもその構造に二重結合を持ち、さらに二重結合がトランス型という構造であるものの総称です。自然界には微量しか存在せず、油に水素を付加することで人工的に製造されるものがほとんどです。そして元々、ヨーロッパで難病のクローン病とトランス脂肪酸との関係が取りざたされてから全国的に問題とされています。現在では、LDLコレステロールを増やすことから動脈硬化やその合併症のリスク増加が確実視され、また糖尿病や高血圧にも関わっていると考えられています。

 

現在の医学でわかっているトランス脂肪酸の悪影響は当初の疑いとは違い、まれな病気を誘発すると言うよりは、誰もが罹患しうる生活習慣病などのリスクを大きく上昇させるというものでほぼ確定しています。トランス脂肪酸による影響は誰もが問題となり得るものですので、特に生活習慣病が気になるような方は、対岸の火事のように思わず積極的にトランス脂肪酸を摂取しないよう気を遣わなければなりません。

 

トランス脂肪酸が含まれる身近な食べ物

 

トランス脂肪酸は様々な食品に含まれます。全く避けようがないというような状況ではありませんが、外食や出来合いの食品に頼っている人はかなりの量のトランス脂肪酸を摂取しているはずです。したがって、トランス脂肪酸を避ける基本的な対策としてはできる限り自炊することです。

 

元々トランス脂肪酸が含まれるとして大きな問題となった食品がマーガリンです。マーガリンはパンに塗るものがイメージ的に強いかも知れませんが、他の様々な食品の材料としても使われており、その代表格がパンです。最近ではマーガリン・ショートニング不使用を謳うパンもそれなりに出てきましたが、やはり大部分のパン類は作る際にはマーガリンやショートニングが使用されており、この二つの油脂由来のトランス脂肪酸が非常に多く含まれています。またファーストフードやできあいの料理に用いられる油脂はその多くがトランス脂肪酸を含むショートニング等であり、食事を外食や買い食いに頼っている限り、トランス脂肪酸を避けることは難しいといえます。

 

特にトランス脂肪酸が多いことが疑われる食品は、マーガリンやパン類、クッキーなどの小麦粉の記事をベースとしたお菓子類などです。現在では消費者庁がトランス脂肪酸の使用および含有量を表示すべきとのガイドラインを発表しているため、トランス脂肪酸に関する表示をしっかり確認してから購入することが重要となってきます。

 

トランス脂肪酸を摂らないようにするには?

 

トランス脂肪酸を摂らないようにするためには、トランス脂肪酸を多く含む食品を避けることももちろん重要ですが、意外と見過ごされがちなのが家庭における油の処理です。天ぷらなど油を多く使う料理をした後は、油つぼに油を戻して再利用する家庭が多いのではないでしょうか。しかしこれによって、摂らなくてもいいトランス脂肪酸を摂取することになってしまいます。

 

トランス脂肪酸は工業的には水素を添加することで作りますが、単に植物油を高温に熱しただけでもその一部はトランス脂肪酸になります。天ぷらなどは油脂を熱して非常に高い温度にしますので、当然ながらトランス脂肪酸が発生することとなります。1回の加熱ではごく一部がトランス脂肪酸に変化するにとどまりますが、同じ油を繰り返し加熱しているとどんどんトランス脂肪酸の割合が増えていきます。そうすると、当然ながら揚げ物にトランス脂肪酸が付着し、多くのトランス脂肪酸を摂取することとなってしまいます。油は酸化しやすいものですし、極力、短期間で取り替えるようにするべきです。

 

また、マーガリン・ショートニングが多く使われている食品はやはり避けなければなりません。基本的に小麦粉をベースとする洋菓子は、特別に避けていない限りそのほとんどがトランス脂肪酸を多く含むマーガリン・ショートニングをふんだんに使っているのです。したがって、できあいの洋菓子は量を制限するか、可能ならば食べないべきです。パンにも注意が必要ですが、最近ではトランス脂肪酸不使用のパンも多少ながら出てきました。

 

トランス脂肪酸を含まない油

 

トランス脂肪酸は、意外と家庭で食用油を使った調理において摂取してしまっているものです。そもそも、安価な植物油はその製造工程においてトランス脂肪酸が発生するため、トランス脂肪酸を含まない・発生しにくい油を選ぶことは、あまり意識されにくいポイントですが非常に重要です。

 

一般的で安価なサラダ油は、そのほとんどがトランス脂肪酸をある程度含んでしまっていると考えた方がいいでしょう。それだけでなく、加熱によってもトランス脂肪酸ができやすいものです。そんな中、トランス脂肪酸を含まず発生しにくい油として最も代表的なものがオリーブオイルです。特に高品質なオリーブオイルは低温抽出によって作られているため、ほとんどトランス脂肪酸を含みません。またオリーブオイルはオレイン酸を多く含み、その作用によって加熱中にトランス脂肪酸ができにくいため、安価なオリーブオイルでも一般的なサラダ油よりはトランス脂肪酸を含みませんし、加熱調理の際も安心です。

 

オメガ3脂肪酸を含む食用油として知られる亜麻仁油も、トランス脂肪酸をほとんど含まない油です。こちらはもともと加熱せずに生で使うことが前提の油であるため、新たなトランス脂肪酸の発生については心配する必要はありません。またオメガ3脂肪酸はLDLコレステロールを下げる働きがあるため、トランス脂肪酸の害を中和するような働きがあるともいえます。

 

他には、ココナッツオイルもグレードによりますがトランス脂肪酸をほとんど含みません。特にヴァージンココナッツオイルであれば加熱や化学処理による抽出を行っていないことが保証されますので、トランス脂肪酸をほぼ含まない油として安心して使うことができます。